今回のdigソーシャルワークは、触法障害者の就労支援と地域連携について、障害者支援を40年前から取り組んでおられ、大阪府地域生活定着支援センターと連携しながら触法障害者の就労支援に取り組んでおられる「南大阪自立支援センター」の石野英司 氏にお話をお聴きしました。
ゲスト:特定非営利活動法人 南大阪自立支援センター 法人顧問 石野英司 氏
進行:一般社団法人ダイアロゴス 代表理事 坂根匡宣 (社会福祉士・公認心理師)
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https://digsocialwork03.peatix.com/view
ダイジェスト
取材メモ
石野氏に事業所を案内して頂きながら、これまで40年の障害者就労支援の変遷や、最も力を入れておられる触法障害者支援の現状を伺う。
障害を抱え罪を重ねる少年から高齢者の更生支援で、これまでも司法・福祉が、求められる機能をなかなか果さない現状から、
自ら幾度となく国や関係機関に働きかけて来られ、支援の在り方から、まさに制度を作られている先駆者の一人と言える。
母体は、貸おしぼり業「(株)い志乃商会」を営む個人商店で、先代から障害者雇用に取り組まれており、関西近郊の少年鑑別所、少年院、拘置所、刑務所より罪を犯した人々を積極的に受け入れて来られた。
個人商店らしく、家族一丸となって取り組んでおられる様子がまた伺えた。
平成23年に就労継続支援事業所A・B型、放課後等デイサービスを開所され、今では相談支援事業所や訪問看護ステーションから、触法障害者に特化したグループホームまで設置されている。石野理事は全Aネット( https://zen-a.net/ )理事なども務める。
(株)い志乃商会のビルに、1FをA型、2FをB型の就労継続支援事業所「ともにーしょうりんじ」で、おしぼりやリネン商品(バスタオル・フェイスタオル等)の洗濯、乾燥、梱包、配送作業を、施設外就労として寺町らしくお墓の掃除やマンションの清掃作業を提供している。
おしぼりやリネン商品の作業では多くの埃が舞う為、クーラーをつけると3日でフィルター清掃が必要になり、乾燥しやすい季節では火災の原因にもなり、夏場では業務用扇風機をつけながらも40度位になる室温の中で利用者は作業に従事しているということ。実際、自然発火による作業所の火災を経験している。
徒歩圏内にB型事業所「どりぃむワ-ク」で、パソコンや電子部品の解体作業、ミシン作業、ドリンクホルダー・プラスチック製品の組立作業、施設外就労として清掃作業を提供されている。
http://www.eonet.ne.jp/~tomoni-syourinji
石野氏からは、作業は利用者だけが携わり、支援者は利用者の見守りに徹することを強調されていた。
また利用者の特性として、支援員は暴力やケンカの仲裁も少なくないということ。
触法障害者の受入では、他の公的な福祉施設などで断われてしまう人を、一民間事業所ながら「うちが断ったら他に行き場がなくなる」「ますます大人に不信を抱く」との思いから、やむにやまれぬ思いで受入れ、矯正施設での面談から、本気で、がっつり、当事者と向き合っておられる熱意や凄みが、具体的ケースを通じて、端々から伝わって来た。
撮影では話せるギリギリで、触法障害者支援にかかる制度の矛盾や連携の問題など大いに語って頂いた。