0040_アラブの音楽のちょっとした話メロディとリズムの関係マクスーム編
K 加藤さん
S 坂根さん
K 今日は坂根さん、よろしくお願いします。
S よろしくお願いします。
K 「アラブ音楽のちょっとした話」ってタイトルにしたんですけど。何でもできるように。今日はだいたい目標15分ぐらいということで。簡単に、これからアラブ音楽を聞くときに楽しめる方法をちょっと紹介できたらと思いまして。今日は坂根さんの目の前にレクがありますけれども。すごい豪華なすごい装飾入ったレクです。
S そうですね
K けっこうジャラジャラ、ナハースっていうらしい、これがうるさい。
S すごい音しますね。
K 耳にかなりきますけれども。これ坂根さんの持ち物なんですね。
S そうなんです。加藤さんが最初にエジプト行ってた時に、レク買ってきてって言って、買ってきてくれた。
K 僕自分のレク買う予算なかったんですけど、坂根さんお金持ちなんでレクゲットしましたね。
S すごい手作りでインレイがめちゃくちゃ入ってるんです。
K これはけっこう有名な方が作ったものらしくて、僕全然知らなかったんですけど、僕のウードの先生が「レク買ってきてあげるよ」っていってくれたんで、頼んだんですよ。「ここにエルアラビって書いてあるやろ」と。「この人有名やから」といってくれはったんですけど。エルアラビって、アラブじゃないですか、エジプトって。エルアラビって、いかにもありそうな名前じゃないですか。だからそんなんあるんや、みたいな、どこにでもありそうな名前やなって思ってたんですが。そのときは。実際けっこう有名な方のつくったものみたいです。
S 僕みたいなのが持ってていいんやろうかと思うけど、まあこうやって
K それで今日はレクなんで、アラブのリズムのことを紹介できたらいいなと思って。いろんなリズムあるんですけど、4拍子。1,2,3,4~1,2,3,4~1,2,3,4
S 一番オーソドックスなやつですよね。
K ホワイトボードでぶっつけですけども大きく書きますね。
これ見えますか。
(円を描く)
円がいびつなのが申し訳ないですけど、このあいだ10拍子説明した時に円書きましたけども、
ここに書くじゃないですか。線をね。
(円を4等分する)
1.2.3.4.ってカウントできますよね。
ここを1として数えてここが2でここが3でここが4とします。そしたらそれぞれの拍に、高い音とか低い音とかを割り振ることによって特有のノリができるんです。
ドゥムが低い音っていいましたよね。さらに1.2.3.4.もう半分ずつ割って考えると(円を8等分)こういうふうになるじゃないですか。
ドゥム(D)とタク(T)とエス(S)があって
タクが高い音なんですよ。ドムが低い音でタクが高い音で、ここにエスが入ってこれは空白みたいなもの。ここにタクが入って、ここにドムが入って、空白のエスが入って、ドムが入って、エスが入って、配置するとするじゃないですか。
これが、1.2.3.4.~って回っていくわけです。これを書いた通りに読むと
D→T→S→T→D→S→T→S→
ドゥム・タク・エス・タク・ドゥム・エス・タク・エス~ となるわけです。
このパターンのリズムに名前がついています。
いろんなリズムがそれぞれの場所にこの音を割り振られててそれでキャラクターが決まるんですけど、
これイーカーっていいます。リズムのことをイーカといいます。リズムのことです。
(アラビア文字で イーカーを書く)
マクスームっていうのは、
(アラビア語マスクームと書く)
日本語の字見てもらったら分かるけど、僕のカタカナはものすごい汚いじゃないですか。それと同じぐらいアラビア語も汚いと思ってもらったら
S でもかわいいですよ
K これがMなんですよ。これがQなんですよ。マクスーのマクスーの「ク」はKじゃなくてQになります。このWみたいなやつがSなんです。これがウーって伸びていってQ入ってます。
(→アラビア文字の解説・動画参照)
S イーカーの「カー」のqって入ってます?
K よく分かりましたね。
S ここが顔に見えてかわいいと思ってね
K 英語の文字で書くと iqa
これカーって伸びてるでしょう。もしかしたらこういうのがついてるかも知れないですね。
S アラビア講座みたいになった
maqsumu
イーカーマスクーム
K すごい見にくい図になってしまいましたけど、ドゥム・タク・エス・タク・ドゥム・エス・タク・エスそういう感じ。
実際坂根さん、ドムとタクとエスのたたき分けをして頂けます?
まずドゥムの音出してもらっていいですか
(坂根氏、叩く)
ジャラってなってますけど、ジャラってならないようにするにはどうやって叩いたらいいかわかります?ちょっとだけ下げる。
(坂根氏 叩く)
ああ、いいですね。低い音と高い音、交互にやっていただけますか。じゃあ、ドゥム・タク・エス・タク・ドゥム・エス・タク・エス~ドゥム・タク・エス・タク・ドゥム・エス・タク・エス~
(坂根氏、叩く)
ああ、いいですね。坂根さん、すぐできましたね。ということで、これイーカマスクームなんですけど。今太鼓だけ鳴らしてるじゃないですか。だからそれだけでもなり立つんですけど。
ちなみにこれちょっとだけ説明すると
ドゥム・タク・エス・タク・ドゥム・エス・タク・エスってなってますけど、このエスのところに「タ」とか入れたりする人もいてそうすると、ドゥム・タ・タ・タ・ドゥム・タ・タみたいな感じとか、いろいろと入れ方はあります。最後のエスのところは、「タカ」とか入れたり。そうするとここが2分の1になる。いろいろ入れ方はあります。
僕がメロディだけを弾きますん、それに太鼓が入ったらこんなに変わるんやっていうことを実感して頂ければと思いますけど。僕がまず単体でメロディだけ弾きますね。この間弾いたやつです。坂根さん、覚えてるでしょう。坂根さんが喜んでいたやつです。ウードだけで引くとそれはこんな感じです。1.2.3.4.
(加藤氏、演奏)
次、今これこういう感じじゃないですか。これで太鼓が入るとどれだけ変化するか体感して下さい。
S ごめんなさい、マクスームっていうリズムが出てきませんでしたけれども、今。
K そうですか?叩いてみてください
(二人で演奏)
K みたいな感じです。
S やっぱり僕に合わせてもらわないと無理ですよ
K ちょっと難しかったですか。難しいんですよ。これ実は。
ドタッタドンターン、ドタッタドンターン、これが、ターラータラララータララララー 。結構これ、トリッキーなんですよ
ウードだけでは、聞こえないですけど、太鼓が入ることによって何か複雑になってくる。むつかしいんですよ。実際たたきながらこれを歌うのは難しい。ドタッタドンターン、ドタッタドンターン、ターラーラーララーララーラララータタタラータタタータタターみたいな。
S すごいね、なんか脳トレみたいになりますね。
K 最初の部分はマクシームなんで、僕がいまウードで叩きましたけれども、なんでもいいんで、もの叩きながら、
(加藤氏、メロディ口ずさみ。坂根氏、叩く)
自分が知ってる曲とか、これどういうリズムなんかな聞きながら考えたりして、自分でそのリズムを、身近にあるものをたたきながら歌ってみると、リズムとメロディってこんなふうに組み合わさってるんだとすごい面白い。
S いま、ちょっと片鱗がでましたよ。脳みそをこっちとこっちを使ってるみたい。楽しくなりました。
K 例えばそれをさらに頭の中で、この図(円)をターラーって描きながらまた歌ってみるとまた違う見え方がしてくる。ということで今日はこんな感じでと思ってますけども。また違うリズムでもぜひやってみたいなと思いますので。
S Qが人の顔っていうか、虫の顔。Qを覚えました。
K またアラビア文字で次のイーカーも書きましょうか。
ちなみにこの「q」は「カッ」。僕がエジプト行ったときに僕の先生が「イカッ」っていってたんですよ、でも何いってるのかわからなくて、「あ、イーカーのことね!」みたいな。それくらい別物。坂根さん、次の太鼓もお願いします。
S 僕これ持ってるんで。何年間かたたいてなかったけど。
K このアジーザの続きやってもいいし、ここからリズム変わるんで。次はマルフーフ
S マルフーフ苦労したんですよ、何年か前。でも今ようたたかんわ。
K ということで今日はそんな感じで終わりました。またよろしくお願いします。
S よろしくおねがいします。
K ありがとうございました。
S ありがとうございました。